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2022,03,18
お客様の声

質感のコントラストが際立つハーフデザイン!プラチナの手作り結婚指輪

お客様の声

M・T様

ハンマーて叩く作業で指輪が予想以上にしっかり丸くできて驚きでした。
研磨した時も、それまでの仕上がりから一気に光沢を出せて楽しかったです。

M・U様

ものづくり体験などが好きで、想いを込めた指輪にしたくて結婚指輪を手作りしました。
自分たちの手作りで綺麗な指輪が出来て、とても満足です。

 

制作風景

今回ご来店されたご夫婦が手作りしていくのは、プラチナの平打型リング。
平打型というのは表面が平らな形。一見シンプルで作るのは簡単そうと思われる方も多いのですが、実はその逆なんです。
きっちりとフラットな面を整えながら磨いていったり、作業工程が多かったりと、他のデザインより少し大変なところも。

できあがった指輪には、ライン加工とサンドブラスト加工を当工房スタッフで施し、表面の仕上げを鏡面とサンドブラストの半々にしたコントラストのあるデザインを目標にしていきます。

そんなお二人の理想を形にするため、作業を頑張っていただきますよ!

 

始まりはそれぞれの違った幅と長さの棒が並ぶところから!

最初の材料はこちらの状態。
奥様は2mm幅、旦那様は4mm幅の指輪を作っていきます。サイズ差もあるので、こうしてみると長さや幅がまったく違うのがわかりますね。

これだけ大きさに差があると、それぞれ作業も差が出てきます。
今回はふたりでお互いの指輪を作りあうということだったので……主に奥様、頑張ってください!

プラチナはイエローゴールドやピンクゴールドと比べても曲げなどの変形加工を行いやすい素材ですが、それでもそのままでは作業が困難な硬さになっています。
そのため、まずはガスバーナーで焼きなましという作業から。
プラチナは使用しているガスバーナーで溶けてしまうことはないので、しっかりと温めてもらいます。すると写真のように明るく発色します。

お二人とも、これまでガラス体験や陶芸体験など様々な体験をやってきたことがあるそうで、慌てることなくしっかりと指示に従っていただきました。
なお、こういった体験が初めての方でもスタッフが必ずサポートしますのでご安心くださいね!

 

プラチナを柔らかくすることができたので、次はヤットコという工具で曲げ、材料の断面同士を合わせる作業。
曲げていきますと簡単に言ったものの、奥様が作業している4mm幅の材料は特に硬くて曲げるのが難しい工程になります。

大変なところはスタッフがお手伝いして、断面同士が合わさった様子が右の写真。
……あれ、丸くないぞ?
って思ってしまいますよね。でも今の段階ではこの形で問題ありません。

作業を進めて手順を見ていくと、なぜ大丈夫かが分かっていきますよ!

ここまで順調に進みましたが、次の作業は溶接。
ロー材という断面同士をくっつけてくれる金属チップを溶かし、一本の輪っかにしていきます。

言葉だけではイメージしづらいと思いますので、実際クローズアップした様子がこちら。

よ~~く見ると、材料に小さなチップが乗っていますね!
これがロー材というものになります。

流石のお二人も金属の溶接を経験したことはなく、やや緊張した表情でガスバーナーを握っていました。
こちらもスタッフの指示にそって火を当てていくと、しっかり溶接ができました!

このように一本の棒から一本の輪っかになり、お二人とも一安心。
チップが溢れた部分が少し黒くなっていますが、こちらは削り取って次の作業へ。

指輪の形を整え、ヤスリ作業へ

 

ここからは木槌と芯金棒という道具を使い、指輪を叩いていきます。
先ほど曲げる作業の時に「この段階では真ん丸でなくて大丈夫」と書いていましたね。
ここで輪っかを芯金棒に通して木槌で叩くことで、輪っかが芯金棒の丸さに合わせて変形していき、丸くなるんです。

今まで来られたお客様の中でも「作る前はちゃんと指輪の丸い形になるか不安でした」という声が多かったのですが、スタッフがチェックしながら叩いていくと、思った以上に丸い形になりますよ!

トントン、カンカン。
奥様が指輪を叩いて丸くしていく様子を横から見ていた旦那様。
その様子に「しっかり丸くなるんだね」と楽しそうに仰っていました。

指輪を新円にしていくのと同時に、サイズ調整を行います。
さっきまで棒だった材料が、試着できる形になっているのも驚きですよね。

旦那様の指輪を作っている奥様が「どうかな?」といった様子で見守っていました。
この段階で小さかったり大きかったりしたら、スタッフが調整しますのでご安心くださいね。

指輪のサイズは無事問題ないようだったので、次へ進んでいきます!

 

ここからは指輪の深いキズや凹みを削り取っていく作業。
平打型の指輪はこの作業からが難所。ヤスリを当て、平らな表面の形を維持したままキズを取っていくのが難しいので、スタッフもサポートするところになります。
特にプラチナはキズが取りづらいので要注意。

ヤスリの当て方からコツまでスタッフが必ず教えて、さっそく作業に取り掛かるお二人。
初めての作業で苦戦される方も少なくないのですが……なんと旦那様がサクサクとヤスリを動かしていたのです!
奥様もそれを見ながら「何をやっても初めてなのに上手にやっちゃうんですよね~」と悔しさ交じりに笑っていました。

 

先ほど使っていた金属のヤスリは大きなキズなどを取る作業でした。
ここから使うヤスリを少しずつ細かくしていき、表面や側面、内側を艶のある仕上げに近づけていきます。

ここで使っているのはスポンジのヤスリを二種類、粗い目と細かい目のものを順に使っています。
それぞれを使い分けてみると、お二人ともその違いを見て「意外と変化が分かるんだね」と言い合っていました。

内側の磨きから最終研磨へ、ラストスパート!

指輪の手作りで地味ながら大切になってくるのが、指輪内側の磨きになります。
内側は指に直接触れるところ。肌に触れている金属がザラザラでキズだらけの状態だと着け心地が悪くなってしまいますよね。

ここはすべての作業の中でも一番の根気勝負!
お二人とも「指がつりそう……」と言いながらも丁寧にヤスリを当て、変化をその目で確かめながら進めていました。

 

最後の仕上げ直前となり、「最初あんな棒だったのにね」としみじみするお二人。
これまで丹念に様々なヤスリを当てていたのも、しっかりと光沢を出すため。ここまで来たら最後まで力いっぱいやりきってもらいます!

研磨剤を塗り込んだ布で 表面、側面、内側と体重を乗せながらしっかりと磨きます。この段階でも光沢は少し見えてきますが、最後に付着した指紋などの油分や汚れを脱脂綿で拭き取っていく……すると!

ピカピカに光ったプラチナの表面が現れました!
この作業で一気に綺麗になった指輪をみて「おお~~!」と思わず感嘆の声が漏れるお二人。

いきなり綺麗になったので、旦那様が先ほど使った脱脂綿を見て「この綿に何か仕掛けが……?」とスタッフに訪ねていましたが、そんなことありません。研磨してから綿で汚れを拭いただけです。
お二人がここまで地道に積み重ねてきた研磨の結果が実ったんです!

ここまで大変な作業もありましたが、本当にお疲れ様でした!

ご希望の加工でお預かりして、完成

指輪が出来上がって、さっそく試着するお二人。
旦那様に作ってもらった指輪をつけた奥様はその手を眺めながら「キレイ~~」と仰っていました♪

指輪の手作りはここまでとなり、あとはオプション加工でラインを入れ、表面を半分サンドブラスト仕上げにしていきます。
このままでも十分綺麗な指輪で思わず持ち帰ってしまいたくなりますが、しばしお預かり。

以降は工房スタッフで加工を進め、お二人にお納めした指輪がこちらです!

コントラストのある表面仕上げで、いっそう素敵な指輪になりましたね!
加工期間を4週間ほど頂戴し、お受け取りに来られたお二人も大変嬉しそうなご様子でした。

棒から始まり、丁寧にふたりで作り上げた結婚指輪。
その指輪にはお互いへの想いや、思い出がこめられています。
これから大切にお使いくださいね!
この度はご来店誠にありがとうございました。
末永く、お幸せに!

 

 


ついぶ川越工房
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